葡萄蒔絵螺鈿聖餅箱

重要文化財
胴径11.3 高9.1
桃山時代

カトリック教会などで聖餅式に用いるパン(聖体)をおさめる箱。桃山時代にヨーロッパに輸出された器物であるため、国内に伝来する例はわずかであり、大変貴重である。箱は印籠蓋造で、中に懸子を収める形式。蓋表には、IHSの三文字を中心に花形クルスと3本の釘が円光で囲まれた、イエズス会の紋章を配する。側面は葡萄文様で埋める。これらは、簡略な金銀の平蒔絵、針描や大胆な螺鈿で表わされる。この時期にポルトガルやスペインとの交易を通じて制作された異国情緒あふれる蒔絵を、現在では「南蛮漆器」と呼んでいる。

初音蒔絵火取母 〉