2020年4月、コロナが猛威を奮い、日本全体が緊急事態宣言下になりました。その期間、東慶寺は閉門し、拝観謝絶の対応をとりました。
宣言下のある日、市内を車で移動中、ある教会の扉がいつも通り開いており、お祈りを捧げるために人が中に入っていくのを見かけました。
拝観謝絶の判断をした自分が僧侶として、宗教者として、本当に正しかったのか。寺院のあるべき姿とは何なのか。それを考え、胸が痛みました。
先行きの見えない世の中、情報過多で変化の激しい社会にいると、ストレスを抱え、どうしても不安な気持ちになるものです。
また、様々な変化やストレスに対しうまく適応するためには、一人ひとりが日常的に身心を正しく調えておく必要があります。
宗教にはその「調える」ための智慧と工夫があり、神社、お寺、教会は自分自身の中の神様仏様の存在をはっきりと気づかせてくれる空間なのです。
誰もが気軽にお参りできるよう、拝観料を廃止し、境内を解放しております。
お参りされる皆様も「お寺とはどういう場所なのか」を考えたうえで、お越しいただければ幸甚に存じます。
東慶寺住職
井上大光